シェアする落語 第18回 三遊亭わん丈』を開催するにあたり、事前にわん丈さんにインタビューを実施しました。一部はご予約特典としてメール配信させていただいています。

せっかくですので、こちらでインタビューの全文を公開いたします。
取材は四家正紀が担当し、文責も四家にあります。
(前回)

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「耳が良すぎる」苦労
おかげさまで、自分から売り込まなくても前座の後半から少しずつお仕事を頂けるようになって、そのままのペースで二ツ目に昇進しました。変わったのは羽織を着るようになったくらい。いまは充実した日々を送っています。
いまのところ人情噺は柳家さん喬師匠、滑稽噺は三遊亭萬橘師匠からお稽古をつけていただくことが多いです。今日掛ける『刀屋』の演出も、さん喬師匠に教えていただいた『井戸の茶碗』を参考にしています。
稽古もいろいろあって、柳家喬太郎師匠に『ハンバーグができるまで』を教えて頂けたらなとか思っています。けれど、この噺を掛けるつもりはないんです。様々なキャラクターを演じわける勉強がしたいんです。

これからは五街道雲助師匠や柳家権太楼師匠のところにもお稽古に行きたいですね。一方で、古今亭志ん輔師匠のところには行きたくなっても、頑張って行かないことにしています。大好きなので。好きすぎて、丸ごと真似してしまう。僕、耳が良すぎて、口調が移ってしまうんですね。そのまま本当に移ればいいけど、絶対、劣化版になるものです。
うちの師匠と、古今亭文菊師匠に同じことを言われました「”変な俺”を聴いているみたいだから、もううちには稽古に来ないほうがいいよ」って。
桂春蝶師からは「しばらくは他の落語をあまり聴かなくでいい。いまの自分が持っている材料でやって見なさい」とアドバイスいただきました。褒めて頂いたような気がしてましたけど「耳が良すぎて、口調が移ってしまう」という僕の課題を見抜かれたみたいで、これは心得ておこうと思っています。


●話芸の魅力を伝えられるようになりたい
実は、(古今亭)志ん朝師匠みたいになりたいんですよ。大好きなんです。カッコいい。
目標にしているのは春風亭小朝師匠ですね。華があって、活舌が良くて、テンポが良くて、明るい。ふわぁーっと光がさしているみたいな存在ですよね。。いつかあんな風になれたらいいなあって。
志ん朝師匠も小朝師匠も、ちょこんと座って座布団の右前の端に扇子を乗せます。これ、ちょっとでも動いたら落ちるはずなんです。でも小朝師匠の扇子は動かない。かっこいいんですよ。落語は「究極の小さな芸」。小さい動きで大きく伝えるのがかっこいいと思うんです。

個性的な若手落語家がたくさんいる時代で、それはとてもいいことですけど、僕自身は、何か自分独自のものを作るよりも自分の思う「王道を歩みたい」と考えています。一之輔師匠とか、(桂) 宮治兄貴のような人気者の歩いてきた道を歩きたい。そのためにネタを増やし、話芸の技術……メロディとリズムを磨いていきたいと思っています。賞も取りたいですし、笑点の若手大喜利にも出たいです。

プロとして、話芸の魅力を伝えられる落語家になりたいです。
ただ、そのためには二つ目のうちに高座でいろんなことをやらないと。新作を作ったり、長い古典を3分に縮めてみたり。お客様の前でやってみないと分からないことがありますから。

真打昇進する前に『居残り佐平次』をやりたいと思っています。大師匠の圓生と志ん朝師匠の間ぐらいの感じで、もちろん自分の工夫も入れて、わん丈の佐平次を完成させたい。

そのためにも、これからまだまだ、もっともっと勉強していくつもりです。

(了)

 (取材2017/06/10 取材・文・写真 四家正紀)

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