『シェアする落語 第19回 雷門音助』を開催するにあたり、音助さんにインタビューさせていただきました。一部はご予約特典としてメール配信させていただいています。インタビューは2017年9月30日と11月12日に行いました。


文責は全て四家正紀(シェアする落語主宰)にあります。

雷門音助
昭和62年11月30日生まれ
2011年 10月 雷門助六に入門
2016年 2月より二ツ目昇進
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(前回(4)はこちら)

■楽屋入り 
楽屋に入ったのは一月の下席です。この時点ではまだ正式な前座ではなくて、一か月は働きながら楽屋仕事を覚えます。当時、楽屋を仕切る立前座には春雨や風子姉さん、桂宮治兄さん。このお二人は二ヶ月くらいで二ツ目に昇進されました。
その下が神田松之丞兄さん、春風亭柳若(当時:瀧川鯉ちゃ)兄さんですね。

でも立前座とかかわることは少なくて、僕にいろいろ教えてくれたのは、僕より五か月早く楽屋入りした春風亭昇吾兄さんです。兄さんのほぼ同期が桂竹千代(当時:竹のこ)兄さん。

楽屋入りして最初の30日のうち28日くらい昇吾兄さんの下にいました。最初の仕事はお茶くみと高座返しです。とにかく昇吾兄さんにくっついていました。離れたら怒られるんです。

師匠方や立前座の兄さんからは、あまり直接怒られないんです。僕を教えている昇吾兄さんが怒られて、昇吾兄さんが僕を叱るという流れです。兄さんのキャラを知っている人からは「え、昇吾に教わったの?」なんて言われますけど、意外とちゃんとしているんです。ただ、いろいろ面白いところはありまして。
楽屋で難しいのはタイミングなんですね。お茶をいま出していい。いま出しちゃダメ。早い、遅い。基本的に、師匠が何かしているときにはお茶を出してはいけない、手を止めてしまうことになりますから。
で、昇吾兄さんから「お茶出せ」と言われたので出そうとしたら立前座の兄さんから「いま出しちゃダメだよ」って。そしたら
あとで昇吾兄さん「な、俺の言ったとおりにやったら、ダメだろ?」(笑)。だんだん僕もわかってきたので、だいたい昇吾兄さんの言ったことと逆やっとけばいい(笑)これ、ほんとこれで覚えたんですよ。
兄さんが「いまいま!(お茶だぜ)」と言われても「いや兄さん、いまじゃないんじゃないですか」(笑)ちょっと反抗してみたりして。「いまじゃないです」。

お茶くみの次は着物を畳むといった具合で、ひとつひとつ覚えて行きます。楽屋仕事は寄席の長い伝統のなかで細かい決まりがしっかり決まっていて、自分がそれに身体を合わせていく感じでしたね。

のちに二ツ目に昇進したときに、兄弟子から「特別なんのしくじりもなく前座終わっちゃったな」って言われました。笑えるようなしくじりはあったほうが面白いんですけど、狙ってできるもんでもないですしね。

ひとつ覚えているのは、正月にある師匠が僕にだけお年玉をくれなかったことがあったんです。あの師匠なんでくれないのかな、なんかやっちゃったかなと思っていたら、三、四日後に「お前昨日あいさつしなかったろ。ちゃんと挨拶しなきゃだめだ」って。挨拶するときにちゃんと目が合っていなかったんですね。で、お小言とともにお年玉をいただいたという。これはマジなしくじりだから面白くはないですよね。
兄さん方の中には前座時代に楽屋でしくじった、面白いエピソードお持ちの方がいます。ちょっとうらやましいような。
 

■大変だった初高座 
思い出に残っているのは、やはり初高座です。
2月の下席、浅草演芸ホールから正式な前座となり、初めて高座に上がることになるわけですが、これが大変で。
たまたま昼の部の前に、前座の太鼓稽古会があったんです。終わったあとすぐに一番太鼓入れて開場して、しばらくして前座が上がるわけですが、稽古会に来ていた前座全員と、講師としていらしていた桂文治(当時:平治)師匠と柳亭楽輔師匠が楽屋にいらっしゃるんですよ。初高座ってめでたいものだから、みんな見てくれるんですね。
もう、ただでさえ緊張するのにすごい人数で、師匠方も見ている。

さらに、これは名前伏せさせていただきますが、僕の後に上がる二ツ目の兄さんから直前になって言われたんです。

「子どもの噺、避けて」って。

ふつうは初高座って「好きにやっていいよ。時間も気にしなくていいよ」って言うもんなんですけどねえ。
慣れている『寿限無』やろうとしたんですけど、できなくなっちゃった。『転失気』も小僧の珍念さんが出てくるからだめ。となると、いちばん慣れていない『たらちね』をやるしかない。事情を聞いた立前座の柳若兄さんから「今日無理して上がらなくていいよ」って言われました。でも今日逃したら今度いつ回ってくるかわからない。「大丈夫です」と覚悟を決めて高座に上がり『たらちね』で行きました。
で、喋りながら上下(かみしも)振って、ふと見たら楽屋の小窓のところから文治師匠がカメラ出して写真撮ってた(笑)もう緊張して、そのことしか覚えてません。
文治師匠はあとで写真をブログに上げてたと思います。

というわけで大変な初高座でしたけど、いい思い出ができました。ありがたいです。

※雷門音助さんの出演情報はこちらからどうぞ

◆第4回 落語作家井上のかたち 寸志・音助 新作ふたりづれ

6月 22日 (土曜日)開場:18時半 開演:19時 


出演:立川寸志「正体見たり(井上新五郎正隆原作)」他一席

  ・雷門音助「長屋のお練り(井上新五郎正隆原作)」他一席

料金:予約2500円 当日2800円

ご予約はらくごカフェまでお願いいたします。

rakugocafe@hotmail.co.jp 電話:03-6268-9818(平日12時~18時)

※定員50名